明日に向って寝て!

映画とか、本とか、アイドルとか、旅行とか。基本的にネタバレします。

『アイアムアヒーロー』-和製ゾンビ映画の金字塔!吹き出す血飛沫、飛び散る脳漿に戦慄せよ!

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監督:佐藤信
制作年:2016年
制作国:日本

あらすじ

鈴木英雄(大泉洋)35歳。職業:漫画家アシスタント。彼女とは破局寸前。
そんな平凡な毎日が、ある日突然、終わりを告げる…。徹夜仕事を終えアパートに戻った英雄の目に映ったのは、彼女の「異形」の姿。一瞬にして世界は崩壊し、姿を変えて行く。謎の感染によって人々が変貌を遂げた生命体『ZQN(ゾキュン)』で街は溢れ、日本中は感染パニックに陥る。標高の高い場所では感染しないという情報を頼りに富士山に向かう英雄。その道中で出会った女子高生・比呂美(有村架純)と元看護師・藪(長澤まさみ)と共に生き残りを賭けた極限のサバイバルが始まった…。果たして彼らは、この変わり果てた日本で生き延びることが出来るのか。そして、英雄は、ただの英雄(ひでお)から本当の英雄(ヒーロー)になれるのか!?(公式サイトより)

原作『アイアムアヒーロー

原作を書いてる花澤健吾の漫画はかなり好きで、単行本が出てるものは全て読んでます。
特に好きなのは『ボーイズ・オン・ザ・ラン』なんですが、連載中の『アイアムアヒーロー』も大好き。
途中ちょっとダレた時期もあったけど、最近はクライマックスに差し掛かっていて最終的なテーマみたいなものも見えてきました。
映画を観るにあたって最初の10巻くらいを再読したんですが、クライマックスの展開は連載初期から決まっていたことが伺えて思わず唸りました。

アイアムアヒーロー』の原作を読んでてずーっと思っていたのがコマ割りがすごく映画的ってこと。
構図やカメラワークが映画でよく見るものに近くて、映画用の絵コンテみたいだと思って読んでいました。(著者のtwitterを見てるとすごく映画好きみたいなので、絶対意識していると思う)
そういった意味では映画化の話を知った時は楽しみだったんですが、不安要素が3点ありました。

まず、グロ表現。
とにかくそういった表現を自主規制しがちな日本でゾンビ映画ってどうなんだろうっていう不安。
グロ表現がヌルいゾンビ映画なんて観ても仕方ないですからね・・

次が話の展開。
漫画の方で最近明らかになってきたテーマなんですが、これがかなり壮大なものでした。
これを映画でやるとなるとかなり表現が難しいはずなので映画オリジナルの展開にするのは明確でした。
ただ、そうなると序盤から最終的なテーマに深く関わる展開を見せる主要登場人物・比呂美に関する描写をどうするのかという不安。
比呂美関連の展開を削ってしまうのも手ですが、どうすると面白さが半減してしまうし、その辺の脚本をどう持ってくるのが期待半分不安半分といった心持ちでした。

最後の不安要素が監督。
本作の監督、佐藤信介の過去作は正直どれも微妙・・・というか正直かなり嫌いな部類の映画でした。
となると今回も・・・というのが最大の不安でした。
ただ、予告編がすごくセンスあったので、その点では楽しみではありました。

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蓋を開けてみるとこれがものすごく面白かったから大喜びですよ!
シッチェス、ポルトブリュッセル国際ファンタスティック、それぞれの映画祭で賞を撮りまくっただけはありました!
(これらの映画祭はファンタジー映画に焦点を当てていて、ややマイナーながらも面白いSFやホラー作品が多く受賞してる)

グロテスク表現 

個人的にはグロテスク表現って大きく分けて3種類あると思ってるんです。
本作はその3種類のグロテスク表現が全て満足いくレベルで満たされてると感じました。
監督のインタビューを読んだところ、初めからR15+制限を想定した上でテレビじゃできない映画ならではの表現をやってやろうというなんとも高い志が伺え、心底感心&尊敬してしまいました。

人体的グロテスク

私が一番苦手なだけど大好きなグロテスクがこれ。
四肢がちぎれて血がぶしゃーって吹き出したり、内臓が飛び散ったりする人体破壊表現や手術シーンで筋肉や内臓が見えちゃったりする表現。

ZQN(本作におけるゾンビの通称)が人を食べるシーンも血がいっぱい流れてていいんですが、やっぱり白眉はクライマックスの戦闘シーン!
散弾銃で大量のZQNをガンガン撃ちまくるんだから大惨劇!
手足が吹っ飛ぶのはもちろん、腹から内臓がこぼれ落ちていたり、頭が破裂して脳みそが飛び散ったりとそこまでやる!?というレベルの人体破壊がみられます。
銃を使うのは主人公の英雄だけなので、銃以外による人体破壊もいっぱい見られて本当にもう眼福でした。

部分的にはCGを使ってるみたいなんですが、基本的には特撮で頑張ってるということだけあってそのグロテスクさや実物感がすごかったです。
あの地獄絵図を見れただけでゾンビ映画として完璧だと思います。

怪物的グロテスク

造形が気持ち悪いクリーチャーなんかを見たときに感じるグロテスクさを怪物的グロテスクなんて分類しています。
わかりやすいところで言えばエイリアンとかですかね。虫を嫌いな人が虫に対して感じてる感情がこれなんじゃなかと思います。

この点ではとにかくZQNの造形がグロテスク
ZQNは人間の原型を残しながらも顔が腫れ上がって血管が浮いていたり、目が飛び出ていたりとものすごい形相になっています。
これがめちゃくちゃグロくて、何より怖い!!

ベースは人間の形なんだけども、明らかに正常じゃない形をしているので見ていてとても不安な気分になるんです。
特に今回は日本が舞台でZQNもみんな日本人ってのが効いてると思います。
あの不気味な印象は東アジア独特ののっぺりとした顔がベースだからこそ。
和製ゾンビ映画として大正解!!

さらにはZQNの動きもかなりグロテスク。
ZQN化した恋人てっこに英雄が襲われるシーン。ZQNてっこが人間では絶対ありえない動きをして英雄に襲いかかってくるのがこれまたすごく怖い。
こうあるはずというものが予想外すぎる動きをすると人は怖さを感じてしまうんだと実感しました。

精神的グロテスク

個人的には一番怖いと思ってるグロテスク。
人間の残虐性や支配欲、利己心といった負の側面が見えた時に感じる嫌悪感がこれです。
"正しいと信じて行われる暴力"なんてこれの最たる例です。

これもきちんと表現されていました。
例えば英雄たちがタイヤネックレスという処刑方法で殺された焼死体を見つけるシーン。
焼死体の腕に巻かれた針金をさりげなく写すことで、極限状態においてどこまでも残酷な行為を行う人間のグロテスクさを見せつけてきます。

また、英雄の仕事仲間の三谷やショッピングモールにいるDQN(ZQNの語源になったネットスラング。チンピラ、不良的な意味合い)のサンゴは「真に平等の世界が来た」だなんて言ってこの終末的状況を喜んですらいます。
実質的にショッピングモールを支配している伊浦は自分が助かるためには他人を犠牲にすることに躊躇はありませんし、生き残った女性たちをレイプしていたことを示唆する発言すらします。

丁寧な描写

前述した通りのある露悪的なグロテスク表現や恐怖表現だけに終始するのではなく、いろいろな描写を丁寧に重ねていくのも素晴らしかったです。

侵食されていく日常

映画が始まってしばらくは英雄の日常が描かれるのですが、そこにちょっとずつ違和感が挟み込まれていきます
最初のうちは登場人物の後ろの方で流れてるニュース番組の内容がなんか変?くらいの違和感なのですが、それがだんだんと大きくなっていきます。
明らかにZQN化したであろう人間が画面に映りだします。

そして誰もが戦慄するであろう、ZQN化した恋人てっこの襲撃シーンから世界は一気にカタストロフへと堕ちていきます。

じわじわと日常が侵食されていくシーンの積み重ねもものすごく怖いですが、最高に怖いのが加速度的に日常が崩壊していく、街中でのシーン。
英雄の行く先にZQNがだんだんと増えていきます。裸で走るZQN、警察官ZQN、高所から落下してもそのまま動き出すZQN・・・・
英雄はひたすら逃げ惑い、カメラはひたすら追いかけます。
「おいおい、これは想像以上にやばいことになっているぞ・・」という英雄と観客の感情が一致した時点で、大通りに出て曲がり角を曲がった英雄が見たものをカメラも捉えます。
遠景に煙を上げるビル、そして逃げ惑う大量の人々!!ドカーン!!!!!!!!

この一連の日常崩壊描写は100点満点な映画的楽しさに溢れていました。

妄想癖表現

主人公英雄の妄想癖をとても映像的に表現していたのも楽しかったです。
ホワイトアウトやカメラをパンするなど妄想シーンに入るといった説明描写なしで英雄の妄想が始まるので、観客はそれが妄想なのか現実なのか初めは気がつかないのです。

漫画について講釈たれてアシスタント仲間に絶賛されるという妄想、ZQNを撃ち殺そうと銃を構える妄想を得た上で、白眉のロッカーから脱出する妄想のシーンへと繋がっていきます。
ZQN騒動の前や、騒動が始まってすぐは成功する妄想ばかりをしていた英雄でしたが、ZQNから逃げるために隠れたロッカーから脱出しようとした際は「飛び出た瞬間に襲われる」という負の妄想に取り付かれてしまいそこから出ることができなくなってしまいます。
ここで負の妄想に囚われた英雄の描写がまたフレッシュ!
何度も何度もいろんなパターンの「飛び出した瞬間に襲われる」妄想を短いスパンでスピーディに繰り返すことでものすごく緊迫感が生まれていました。

初めはギャグ的な使われ方をしていた"妄想シーン"を後半では緊迫感を出すために使う手腕には舌を巻きました。

伏線とモチーフ

『レヴェナント 蘇りし者』の感想内でも書いた、"生まれ変わり"のモチーフが登場します。
英雄が隠れるロッカーは子宮のモチーフであり、一度母体に戻って再度そこから出てくることで新しい自分に生まれ変わるのです。
事実、ロッカーに逃げ込む前の英雄は銃を持ちながら能動的にZQNと戦うことをしませんが、ロッカーから出た後は仲間を守るために自主的にZQNに立ち向かっていきます
また、ロッカーを出た後は一度も妄想を行わず、現実と向き合い、現実に立ち向かっていくのです。

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他にもロレックスが大事なモチーフであり伏線として登場します。
映画の冒頭、ZQNが広まる前、英雄は同期の売れっ子漫画家がロレックスの腕時計をしているのを羨望と嫉妬の眼差しで見つめます。
ここで、ロレックスは富や地位、虚栄心の象徴です。英雄はそういったものに憧れ、執着しているのです。

逃げ込んだショッピングモールでは生き残ったおじさんの一人がロレックスを腕に巻いており、「いくらである」と英雄にも差し出します。
これは富や地位といったものが無価値になったということを表すと同時に、クライマックスシーンで英雄が腕を噛まれた!?と思いきや、大量のロレックスを巻いていたから助かったというギャグシーンにつながります。

そしてさらに英雄は噛み付いたZQNを振り払い、ロレックスを捨てて大量のZQNに立ち向かっていくのです。
この瞬間、英雄はロレックスに象徴されていた虚栄心を捨て、富や地位への執着を捨て、一人の人間としての価値を獲得するのです。アツい!

自己紹介

ロレックスを捨てる前の英雄は「ヒデオです。えいゆうって書いて、ヒデオ」という自己紹介の仕方をします。
しかし、実際の英雄は半ZQN化した比呂美にZQN退治をさせようとしたり、ピンチになっても銃を撃てないヘタレでした。
その後、前述した通り生まれ変わり、比呂美や藪を助ける姿はまさにヒーローそのものでした。

名実ともにヒーローとなった英雄ですが、映画のラストで名前を聞かれてこう答えます。
ヒデオ・・・ただのヒデオです

比呂美関連の描写

あまり触れてこなかったのですが、やっぱり比呂美関連の描写はちょっと微妙かなとも感じてしまいました。
歯がない赤ちゃんに噛まれることで比呂美は半ZQN化するのですが、それについての説明は一切なく話は進んでいきます。

また、中盤で英雄と比呂美が森の中を彷徨うシーンは急にテンポが悪くなってしまったように感じました。
急に挟まれる幻想映像は唐突感が拭えませんでした。
(ただし、幻想的な森の風景の中に無表情で佇む有村架純という絵面は綺麗!)

終盤で比呂美をもっと活躍させた方が映画的にも盛り上がると思ったのですが、それをやると半ZQNの意味わからなささらに浮き彫りになってしまうし、これは当初の不安が的中したような印象です。

総評

ちょっとした不満は残るものの、そんなのは重箱の隅です!
日本でもこんなに面白いゾンビ映画が作られたことを本当に嬉しく思います!

ゾンビ映画の歴史に新たなるページが追加されるその瞬間を見逃す手はないはずです!!

『テラフォーマーズ』-だだスベリのギャグに凍りつく劇場。ルックとしては悪くないんじゃない!?

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監督:三池崇史
制作年:2016年
制作国:日本

あらすじ

2599年、人口増加による貧富の差が激しくなる日本では、新たな居住地開拓のために「火星地球化(テラフォーミング)計画」が始まっていた。しかし、火星の気温を上げるためにコケとともに放たれたゴキブリが異常進化してしまう。そのゴキブリたちを駆除するため、15人の日本人が火星に送り込まれるが……。(映画.comより)

炎上騒動

本作は上映前からネットで炎上騒動があり、やたらと話題になってました。
公開された予告編が不評でちょっと騒ぎに。
その後試写会を観た人たちの感想が酷評揃いでまた騒ぎに。
きわめつけは前田有一映画公開前にアップした感想。これがかなりの酷評で、ネット上では氏が以前同じく酷評した『デビルマン』と比較したコメントとともに炎上。

個人的にはこの騒動にはかなりゲンナリしてまして。
評判が悪いって共通項だけを抽出して、今更10年以上も前の映画引っ張り出してきて騒ぎ立てるのは至極ナンセンス
そこにロジックは一切見えてこないし、デビルマンって言えば面白いと思ってるのがなんともおサムい。

あと、漫画の実写化した時おきまりの「原作と違う」って批判もいい加減ナンセンスですよね。。。

なので、面白くありますようにって期待して見に行きました。
実際見たら全然面白かったぜ!?って反論できたらいいなーって思ってました。

好きなところ

で、観てみたら何というか。。。基本的にはつまらないんだけども、そこまで極端にダメ映画かと言われるとそうでもないという微妙なニュアンス。
ツッコミどころは満載なんですが、三池監督映画にいちいちツッコむのも野暮ってもんなんで、大まかに好きだったところと嫌いなことろを列挙する形で感想としたいと思います。

特撮っぽい容姿

各キャラクターの変身後のビジュアルは特撮感が出てて結構好きでした。
予算の問題とかあってCGじゃハリウッドにはどうやっても敵わないってことは自明なので特撮方向に舵を切るのは間違いじゃないと思います。
去年の『進撃の巨人』もドラマ部分はアレでしたが、特撮シーンは100点満点でさいっこうでしたし。

女優陣の頑張り

まず見ててキタ!と思ったのがマリコ様と太田莉菜がテラフォーマーの体液でグチョグチョになった瞬間!あのシーンだけで白飯5杯はいけるんじゃないでしょうか。
あのシーンが良すぎて直前の「マリコ様、やっぱり演技が。。。」とか「このシチュエーションで光学迷彩ってなんの役に立つの?」って疑問も吹っ飛びます。
しかも後半には同じく体液でグチョグチョになった菊地凛子嬢の御姿まで拝めるんですから御の字です。

あと、がんばってたのは小池栄子
変身後の髪型がまさかのツインテール!そんなところ原作を忠実に再現しなくてもいいのに!
先に挙げた3人の粘液まみれ姿と、小池栄子ツインテールが見れただけで料金分の満足感はありました。

山P

男性陣で良かったのは加藤雅也山下智久
加藤雅也演じる武藤艦長が囮になってガシガシ戦うシーンは単純にアクションとして面白かったと思います。

山Pの奮闘がある意味一番良かった点かもしれません。
登場するなりロボット演技で英語を話し始めた時はどうしようかと思いましたが、ちゃんとそれが後半の演技との対比になってるってことに気づいてからは一転高評価!
つまり、最初は人間の見た目だけども感情は虫のように欠落してて、クライマックスで虫の姿になってからは感情を取り戻して中身は人間に戻っていくっていう対比が効いてたと思います。
虫になってから人間性を取り戻すっていう演技がアツかったです。

嫌いなところ

テンポの悪さ

とにかく全編通してテンポが悪いと感じました。
ところどころに入る虫の解説やだだスベリのギャグが話のテンポをいちいちぶつ切りにするのもそうなんですが、とにかく会話シーンのテンポが悪い
会話シーンになると急に映画が停滞し始めてしまい、正直眠くなってしまいました。
緊迫した状況のはずなのに登場人物たちが棒立ちでダラダラダラダラ話してるだけのシーンのせいで緊張感が全くありませんでした。

あの会話の間、テラフォーマー達は待っててくれたってコトなんでしょうか。。。

怖くない

進化してしまったゴキブリ、テラフォーマーの外見が怖くないというのはまぁある程度慮ることはできるんです。
全年齢対象の映画にしたかったんでしょう、と。事実、私が見た回は小中学生の観客が多かったように感じました。
あんまりグロくないってのも同じ理由からでしょう。

じゃあ何が不満かって、原作にある"絶望感"が圧倒的に不足してることなんです。
原作では日常的な雰囲気の中、登場人物がすごく簡単に次々と殺されていき、なんとか臨戦態勢になってもどんどん殺されてしまうという感じに順を追ってテラフォーマーの強さが提示されていくのですごく怖いし、絶望感が強いんです。
けれども映画では割と初めからバトルもののノリなのに、登場人物が簡単に次々と死ぬってところは再現してるのでものすごい出オチ感なんです。

この辺の演出がちゃんとできてないから怖くないし、緊張感が持続しないんじゃないかと思いました。

CGが雑

大量のテラフォーマーが押し寄せるシーンのCGの雑さ加減にがっかりしました。
ワールド・ウォーZ』という映画で超大群のゾンビが大きな一塊の物体に見えるって描写がすごく好きだったんです。ゾンビ粒子描写とでもいいましょうか。
今回の『テラフォーマーズ』でもそれが見れるんじゃないか!?と期待させる描写があるんですが、実際にはかなり雑なCGでした。

例えば大量のテラフォーマーが宇宙艦に攻めてくるというシーン。
テラフォーマーとテラフォーマーが重なりあいながらも宇宙艦をよじ登ってくるんですが、その重なり方が単純にCGモデルをスタンプみたいに重ね貼りしただけ。
少し下にいるやつの肩に足をかけてるとかいう描写もなし。

ゴキブリ津波の全体像も失笑ものでしたね。。。

総括

最初に述べた通り、基本的にはつまらないんだけども、そこまで極端にダメ映画かと言われるとそうでもないという感じでしょうか。
伝わってくるメッセージがひどいとか、透けて見える作り手の精神性が嫌いとかそういう類の映画ではないし、いいところはちゃんとあると思います。
同時に問題点も多いのですが。。。

私の席の近くに座ってた小学生が、観終わった後に「ちょーおもしろかった」「あそこがかっこよかった」とワイワイ騒いでたので、それでもうなんか満足といいいますか。
私もネットの評判がどうとか制作や配給の大人の事情がどうとか、そういうの関係なしにあの子達みたいに純粋に映画を楽しもうって思えたのが最大の収穫でした。

2016年18週

GWが始まりましたね。
4月に結構頑張って仕事ススメた甲斐もあって今年は見事10連休を勝ち取ることができました。
ひたすら家に引きこもるつもりでいます。

さて、18週のまとめです。

映画

映画館では『太陽』『テラフォーマーズ』『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を観ました。

『太陽』は演劇的な演技がちょっと気になりましたが、衰退した日本の村描写が素晴らしくて、それによって伝わってくるメッセージに大いに心揺さぶられました。

テラフォーマーズ』は好きなところは好きなんですが。。。お察しって感じでしょうか。
ただ、公開前のネット界隈のゴタゴタには本当に嫌悪感です。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』は最高!お祭り騒ぎで楽しかったです。時間見つけてもう2,3回観に行くつもりです。
13作目となるともう新参はなかなか入ってくるの難しいだろうなぁってことも思いました。
映画館のロビーで「過去作観てないからよくわからなかった」って話してる人も見かけましたし、おそらくBvS観終わったのであろうカップルの彼氏が「バットマンもそのうちアベンジャーズに入る」なんて言ってるのも聞きました。

まぁでもその気持ちもわからなくはないです。過去にスパイダーマンシリーズが2つもある上にMCUにスパイディが合流して、X-MENやファンタスティック4もマーベルながらも別シリーズがあって。
DCEUも始まったからジャスティスリーグとアベンジャーズの区別もつきにくくなるだろうし、それぞれのドラマシリーズも局ごとにシリーズが違う・・・と思ったら局を超えたクロスオーバーなんかもして。
この前、知人にこの辺の話を20分くらいかけて説明したんですが結局きちんと理解してもらえなかった気がします。

ドラマ

いくつか同時並行で見てしまっているので、GW中にイッキ見して整理しようと思います。
GW中に最低でも次の3つは公開されてるシーズンは全部見ちゃいたい。

たまたまやってた『お迎えデス。』を観たんですが、いまいちノれず。
『ゆとりですがなにか』がHuluにあったので気が向いたら見てみるつもりです。

ピクサー

とうとうピクサー展に行ってきました!
GW初日だったのでどうせ激混みするだろうと思って開館30分前に行ったのですが、すでに長蛇の列。
ただ、入場してみたら混んでたのはトイストーリーのコーナーと最後のお土産コーナーくらいで、他のところは結構ゆっくり見れました。

各作品のコンセプトアートなんかが見れてすっごく面白かったんですが、技術的な面がさらっと流されちゃってたのがちょっと残念。
今アメリカでやってるThe Science Behind PIXARがかなり技術面に迫った展示らしいなんて噂を聞いたので、すごく行ってみたいです。




さて、結局全然映画の感想記事が上げられてません。
せっかく時間がたっぷりあるGWなんで記事も書きたいです。。。

ではー。

2016年5月に観たい映画

今年のGWは10連休です。
旅行も考えたんですが、今年は引きこもってやりたいことをやることにしました。
映画観たり、ドラマ観たり、本読んだり、ゲームやったり。
Amazonで注文したBD-BOXやゲームがどっさり届いたので今からワクワクしています。

来月の映画

来月、観たいと思ってる映画です。

観たい映画が怒涛の勢いで押し寄せてきた4月に比べるとやや落ち着いた印象の5月です。

絶対観る枠

みんな大好きメキシコ麻薬戦争を追ったドキュメンタリー映画『カルテル・ランド』は前売り券購入済み。
『ボーダーライン』がまだ観れてないので勝手に二本立てとかできないかなーって考えてます。

是枝裕和監督の『海よりもまだ深く』は見逃すわけにはいかないし、古谷実原作にして吉田恵輔監督の『ヒメノア〜ル』もマスト。

コーエン兄弟の『ヘイル、シーザー!』も当然のように観る予定です。

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『ヒメノア〜ル』は原作未読なのでこの機会で読むつもりです。

かなり観たい枠

2時間20分ノーカットというにわかに信じがたい宣伝文句の『ヴィクトリア』、年をとって丸くなったのか以前のような無茶苦茶さが薄い『マイケル・ムーアの世界侵略のススメ』は仕事がめちゃくちゃ忙しいとかそういうことがない限りは観に行こうと思ってます。

聾唖者が音を使わず音楽を表現するアートドキュメンタリーの『LISTEN』、神様の娘が余命をメールで送ってくるというコメディ『神様メール』も観たいところ。

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この予告編だけでもドキドキする、『LISTEN』

悩みどころ枠

前作はダメなところも多かったけど好きなところはとことん好きだった『HK/変態仮面 アブノーマル・クライシス』はちょっと悩みどころ。

園子温監督は基本的には大好きで、新作は必ず観てるんですが、ここのところあまり好きではない感じの作品が続いたので『ひそひそ星』『園子温という生き物』もちょっと優先度低め。

アイドルにハマるきっかけになったリリカルスクール(当時はまだtengal6を名乗ってた)が主演となれば観ないわけにはいかないんですが、どうしても観るのが怖い『リリカルスクール未知との遭遇
好きなアイドルの主演映画がつまらなかったらどうしよう。。。

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パーカー+ネックウォーマー+メガネという組み合わせのyumiが犯罪的に可愛い。。。。!

来月の映画以外

来月でピクサー展が終わってしまうので急いでいかなければ!と焦っています。
ただ、今回の30周年記念展は前回の25周年記念展とあまり内容が変わらないなんて噂も、、、

劇団イキウメの公演『太陽』の東京公演が始まるのも来月!
イキウメの公演は問答無用でオススメです。

Negiccoのニューアルバムも発売されます!もう、楽しみで仕方ありません。


来月はこんな感じでしょうか。ではー。

『レヴェナント 蘇りし者』- 超美麗映像で描かれる魂の旅路

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原題:The Revenant
監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
制作年:2015年
制作国:アメリカ

あらすじ

狩猟中に熊に襲われ、瀕死の重傷を負ったハンターのヒュー・グラス。狩猟チームメンバーのジョン・フィッツジェラルドは、そんなグラスを足手まといだと置き去りにし、反抗したグラスの息子も殺してしまう。グラスは、フィッツジェラルドへの復讐心だけを糧に、厳しい大自然の中を生き延びていく。(映画.comより)

面白かったけど・・・

本年度アカデミー賞で三冠を受賞した本作。
イニャリトゥ監督は2年連続受賞だし、撮影監督のエマニュエル・ルベツキに至っては3年連続受賞。さすがというかなんというか。
現代において綺麗な映像を撮らせたらエマニュエル・ルベツキの右に出る者はいないと言っても過言じゃないでしょう。
そして、レオナルド・ディカプリオが悲願の主演男優賞を受賞
数々の傑作映画で名演から怪演までこなしてきたにも関わらずこれまでアカデミー賞とは無縁の存在でしたが、本作でやっと受賞。
今年のアカデミー賞は「マッドマックスが何冠とるか」と「デカプーは受賞できるのか」が二大話題だった印象です。

日本での公開は諸外国に比べて公開が遅かったのでヤキモキしたのですが、やっと公開ということで喜び勇んで観に行きました。

そしたらすごく面白かったんです。
面白かったんですが、よくわからなかったんです。
なかなか納得のいく解釈が見つからず、なんでこんなに面白かったのか自分でもよくわかりません。

インタビュー記事なんかも探してみたんですがどれも「いかに撮影が大変だったか」ってことばかり語られてて、映画の解釈について解説してくれているようなものが見当たりませんでした。
国内の感想記事なんかも幾つか読んだんですが、まだ公開から日が浅いからかあんまり解釈的なところまで踏み込んだのが見つかりませんでした。
なので海外のレビューサイトなんかを参考にこの映画を解釈しようと思います。

超美麗なネイチャー映像

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とまぁ前置きしましたが、解釈云々よりかはまずその綺麗過ぎる映像を語るべきでしょう!
今世界で一番綺麗な映像を撮る男、エマニュエル・ルベツキによって撮影された超美麗な自然の映像は息を飲むほど美しかったです。
照明を使わず自然光だけで撮影したというこの映像を大スクリーンで観れるってだけでこの映画を観る価値があります。

あえて欠点を言うのであれば、映像が綺麗すぎてポストブロダクションが浮いてしまっていたという点。
後からCGで足した映像が邪魔してしまっている感が否めません。
特にクマの吐息でカメラのレンズが曇るという演出。
のちに主人公グラスの吐息でレンズが曇るという演出もあり、これによりクマとグラスの同一化が示されます。(詳しくは後述)
この演出がしたかった意図もわかるし、レンズの曇り→山にかかる霧→フィッツジェラルドが吐くパイプの煙というマッチカットをやりたかっというのもわかりますが、あそこでカメラの存在を意識させる演出をする必要はなかったように思いました。

『サウルの息子』と同じ点、違う点

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また、この映画の映像には2つ大きな特徴があります。それは長回しとアップの多用。
カメラは登場人物にグッと寄り、その人物を長回しでひたすら追いかけます。
これは臨場感を狙った演出であり、観客はまるで自分がそこにいるかのような感覚に陥り登場人物たちの行動を追体験します。
これは以前感想記事を書いた、『サウルの息子』と同じ演出方法であり追体験という意味でも同じ効果を狙っていると思われます。

asunete.hatenablog.com

しかし本作と『サウルの息子』には決定的な違いがあります。
それは背景の捉え方
サウルの息子では画面を1:1に狭めて被写界深度を極端に浅くしているために、背景はほとんど映らない上に映ったとしてもピントが合ってないために主人公がいる状況がよく把握できません
これは同胞を騙して殺した上にその死体の処理までさせられている主人公が心を閉ざし、周りを見ないようにしていることを表現でした。

対して『レヴェナント』では横長の広い画面で被写界深度を思い切り深くしています。
登場人物のアップを中心に広がる大自然の映像には隅々までピントが合い、登場人物が置かれている状況をはっきりと捉えることができます
これは『サウルの息子』同様に主人公の意識を表したものだと思います。
つまり、『レヴェナント』と『サウルの息子』では主人公の世界の捉え方が逆なのです。
熊に襲われ重傷を負い、先住民たちに追われながら厳しい大自然の中を生き抜くには野生の獣のように感覚を研ぎ澄ませ、周りの状況を常に把握しながら歩みを進める必要がありました。
背景を常に捉え続ける映像はそれを表しているのではないでしょうか。

繰り返されるメタファー

以降は私なりにこの映画を解釈します。
思い切りネタバレします。

この映画では数々のメタファーが登場します。
まずわかりやいすのが木が生命のメタファーであるということ。
本作の中で木は命を表し、主人公グラスの心情を表します。
グラスは劇中、亡くなった奥さんが遺した次のような言葉を何度も反芻します。
「嵐の中の木を見なさい。葉や枝は揺れても幹は揺れない」
大約して信念を持って生きろくらいの意味だと思うのですが、この言葉からして木を人生≒生命に例えています。

また、劇中で繰り返されるのは"生まれ変わりのメタファー"です。
映画において狭い場所というのは子宮を表し、そこから出てくるというのは誕生を意味します。
例えばホラー映画なんかで猟奇殺人者に追われた主人公がロッカーやベッドの下に隠れてなんとかやり過ごし、そこから出てきた後から反撃を開始するといった描画がよくあります。
これは一度子宮に戻ってそこから誕生することで強い人間に生まれ変わり、恐怖に立ち向かっていくことを意味します。
最近の映画でいえば『ルーム』の監禁部屋は明らかに子宮でありそこから抜け出すことでジャックは初めて世界に誕生します。脱出前に卵を割る(=殻を破って誕生する)という、誕生をイメージさせるシーンが何気ない日常のワンシーンとして2回も出てきます。
アイアムアヒーロー』でも英雄がZQNたちと戦うのは隠れたロッカーから出てきた後からです。

本作ではグラスは何度となく死の危険に晒され、その度にこの生まれ変わりのメタファーが登場します。
では、グラスは何に生まれ変わっていくのか。それは動物です。

第一の生まれ変わり

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物語は収穫した毛皮を船に積もうとするアメリカ人ハンターたちが先住民に襲われるシーンから始まります。
(このシーンが『プライベート・ライアン』のノルマンディ上陸作戦を思い起こさせる凄惨さで最高です)
ハンターたちも先住民たちもバタバタと死んでいくこのシーンでは生命の象徴たる木々が燃えて倒れていきます

なんとか逃げ延びたグラスとその息子ホーク含む数名は先住民たちに追われながら砦を目指しますが、道中グラスは巨大なグリズリーに襲われてしまいます。
なんとかグリズリーを殺したグラスですが瀕死の重傷を負います。
まだ息があるグラスを見捨てるわけにはいかない隊長はホーク、ブリッジャー、フィッツジェラルドに残ってグラスを看取ってから隊に追いつくように依頼します。
しかし、フィッツジェラルドはホークを殺し、ブリッジャーを騙してグラスを生き埋めにしてしまいます
重傷を負って動けないグラスは息子を殺され、自分が埋められるのを黙って見ていることしかできません。
この時、強い風に揺れ動く木々が映し出されます。
これは息子という"幹"を失って根幹から揺れ動くグラスの心情を表しているんだと思います。

意識を取り戻したグラスが土から這い出てくるというのが第一の生まれ変わりです。
クマの毛皮を身にまとい、クマの爪のペンダントをつけて、脚の怪我のために立ち上がれずのそのそと這う姿はまさにクマそのものです。
川で泳いでる魚を手掴みで捕まえ、生のまま食べるシーンなんてシーンも登場します。

息子の死体を見つけたグラスはフィッツジェラルドへの復讐心に燃えます。
グラスという木の幹が息子から復讐心へと変わった瞬間です。

第二の生まれ変わり

先住民に見つかり、逃げた先でグラスはバッファローを狩る狼の群れを見つけます。
手出しすることはできず、その場で眠り込むグラスですが、物音に目をさますとポーニー族の男が狼を蹴散らしバッファローを奪っています。
グラスは這いつくばって敵意をないことを示し、バファッローの肉を請います。
ポニー族の男は無言でバッファローの肝臓をグラスに差し出し、グラスはそれを生のまま食べます。
以降、グラスはポニー族の男に同行します。

道中、具合が悪くなったグラスのためにポーニー族の男は木の枝で小さな小屋を作り、グラスはその中で吹雪をしのぎます。
グラスは小屋の中で生死の境を彷徨い、幻覚をみます。
それは朽ち果てた教会で死んだ息子と出会うというものです。
明らかにあの世のビジョンであり、死の世界に片足を突っ込んだグラスが死んだ息子と再会したわけです。
思わず息子を抱きしめるグラスですが、ふと気づくと息子ではなく木に抱きついています。
死の象徴たる息子ではなく、生命の象徴である木に抱きつくグラス
まさに生にしがみついたグラスは生き延びます。

この小屋から這い出てくるのが第二の生まれ変わりです。

何に生まれ変わったのかは明確です。それは狼です。
這いつくばり生でバッファローの肝臓を食べ、同族と群れを作って行動する様はまさに狼です。

ポーニー族の男はグラスに自分も家族を殺されたが、復讐はしないと語ります。
「復讐は神の手に」と。

第三の生まれ変わり

小屋から這い出たグラスはポーニー族の男がフランス人のハンターに殺されているのを発見します。
グラスはそのフランス人たちに捉えられている先住民の女性を助け出し自分も馬を奪って逃げます。

フランス人から逃げた先では先住民たちに見つかり、必死に逃げるのですが、馬共々崖から落ちてしまいます。
しかし、木の枝にぶつかりながら落ちたグラスは一命を取り留めます。
ここでも木によって命が救われています。

生き延びたグラスは死んでしまった馬の腹を割き、裸になって馬の体内に入ることで寒さをしのぎます。
朝になって血にまみれながら裸で馬の死体から這い出るグラスの姿は胎児そのものであり、非常にわかりやすい生まれ変わりのメタファーです。

ここでのグラスは馬です。
馬の体内に入ってしまっているんですから、フランス人や先住民から走って逃げる姿がどうのというレベルではなく人馬一体です。

それぞれの宗教観

クマ、狼、馬と転生を繰り返したグラスはなんとか砦に辿り着き、逃げたフィッツジェラルドを追います。
この時のグラスは銃を手にし、一時は人間に戻りますが、フィッツジェラルドを追い詰めた時に両者の手には銃はなく、ナイフでの戦いが始まります。
ナイフは爪や牙の代わりだと考えると、両者とも動物として戦っているということがわかります。
劇中では何度も「savage(野蛮)」という言葉が出てきますが、ここでは最も野蛮な獣同士の最も野蛮な戦いが繰り広げられるのです。

このように他の動物へと転生を繰り返すという観念はキリスト教的ではなく、どちらかといえばネイティブアメリカンの精霊信仰に近いものがあります。
この輪廻転生はブリッジャーが暇つぶしに水筒に刻むマーク、渦巻き模様によって暗示されていました。
この物語は生まれ変わりの物語でもあると同時に信仰についての物語でもあるのです。

フィッツジェラルドは途中で自らが語るように「神を殺してでも生き残る」男です。
ポーニー族の男は復讐すら「神に委ねる」人物でした。
それぞれにとっての神やその捉え方が違うことが示されています。

ではグラスにとっての神とは。

とうとうフィッツジェラルドを追い詰めたグラスですが、とどめを刺すことはせずにフィッツジェラルドを川に流します。
ポーニー族の男の言葉に従ったわけです。
流れの先にいて、フィッツジェラルドの先にいる先住民の男はここでは神の象徴です。
ここで注意したいのが彼自身が神というわけではなく、彼がそこにいるという事象が神の象徴ということです。
それを偶然と捉えるか、神の計画と捉えるか、自然の流れた作り出したものと捉えるかがそれぞれの宗教観なんだと思います。

復讐という"幹"を手放したグラスは最後の最後に自らの神と出会います
彼の今後どうなるかは観客の想像に任されています。
嵐を前に倒れてしまうのか、別の"幹"を見つけて生き抜くのか。




なかなか解釈の難しい映画でした。
上記の考えもまだまだ足りていないところや、もしかしたら大間違いがあるのかもしれません。(というか確実に間違いはあると思う)
それでもあの映像美には圧巻されましたし、なぜだかとでも好きな映画でした。
絶対映画館で観る価値がある映画ですので、興味があれば是非ー。

参考リンク

町山智浩『レヴェナント』とディカプリオのアカデミー賞受賞の可能性を語る
町山智浩さんによる映画の紹介

レヴェナント 蘇えりし者:レオナルド・ディカプリオ、アカデミー賞受賞作品。置き去りにされ、息子を殺されたハンターによる復讐劇。|NEWS -MOVIE-|honeyee.com Web Magazine
真魚八重子さんによるレビュー

『レヴェナント:蘇えりし者』が、どれだけスゴい映画なのかまとめました! #レヴェナント100連発 - Togetterまとめ
本作のトリビアまとめ

2016年17週

今週のまとめです。

今週は月曜から金曜まで仕事で大阪に出張してました。
知らない場所に行くのが大好きなので出張も旅行気分で大好きなのですが、大阪出張は結構機会が多く、観光名所はほぼ回ってたこともあり。。。。
街並みもすっかり見慣れてしまっていて、ワクワク感はほぼ皆無。
年をとって経験値が増えると感動しにくくなるなんて話も聞いた事ありますが、最近ちょっとワクワクのハードルが上がってるのを肌で実感しててなんだか寂しくもあります。

ここのところ心身ともにあまり調子が良くなかったので生活習慣を改善することにしました。
まずは睡眠からとちょっと調べた結果、「起床時間を決める」「できる限り7時間睡眠する」ことを目標にしてみました。
割と調子がいい気がしてます。

映画

出張中に『クレヨンしんちゃん 爆睡! ユメミーワールド大突撃』を観ました。
あまりに面白かったので一気に感想の記事を書き上げてしまいました。
詳しくはそちらをどうぞ。

 

asunete.hatenablog.com

 
今日、『レヴェナント 蘇りし者』と『ズートピア』を観てきました。
どっちもものすごく面白かったです。

『レヴェナント』はやっぱりあの映像美でしょうか。
さすがはエマニュエル・ルベツキ。奇跡のような綺麗すぎる大自然の映像は圧巻でした。
その分、自然の映像がすごすぎる分、CGが浮いてしまっているように見えたのが残念でした。
あの"曇り"の演出とか不要だと思うんですよね。
レンズの曇り→霧→パイプの煙っていうマッチカットをやりたかったってのはわかるんですが。
感想記事も書き始めてるんですが、映画内での神の解釈について自分の中でなかなか納得のいく解答が見つけられず、困っています。

『ズートピア』はさいっこうでした。
脚本はいいし、映像もいいし、メッセージもいいし、ギャグも笑えるし。
あえて言うなら、欠点がないところが欠点というか。
あまりに正しいことを言いすぎていて、ちょっと説教くさく感じてしまったというか。
なんだか道徳の授業みたいな雰囲気がちょっとだけ鼻に付く感じがしました。
あそこまで丁寧にセリフで説明しなくて良かった気がしてます。
なんてまぁ、こんなのは重箱の隅も隅も隅をつつくような指摘で、基本的には超絶面白かったです。

あとはネット配信で『ミニオンズ』とかクレヨンしんちゃんの劇場版をいくつか観ました。

明日は『太陽』を観に行って、明後日は『アイアムアヒーロー』を観るつもりです。

今月の映画秘宝はゾンビ特集が最高!
読んでたら色々観たくなってきちゃいました。
ウォーキングデッドはシーズン3までしか観てないので続き見ようか検討中です。

今は真魚八重子さんの『映画なしでは生きられない』を読んでる途中です。

ドラマ

フルハウス』全話鑑賞を終えて以来、ちょっと燃え尽き症候群気味です。
のんびり『ゲーム・オブ・スローンズ』のシーズン4を観進めています。

Amazonプライム・ビデオで配信されてる『仮面ライダーアマゾンズ』も観始めました。
面白いんですが、ちょっと鈍重じゃないですか、あれ。
重々しすぎて話のテンポが悪い気がしてます。もうちょっとサクサクやってもいいんじゃないかな。
ニチアサじゃないから子供もオモチャも気にしなくていいってのはいい条件だと思います。
その辺のグロ描写、恐怖描写は嬉々としてやってる感じがしてます。
特撮とネット配信オリジナル。なかなか相性いいのかもしれませんね。

料理とか洗濯物たたみとしてる間にながら見するのにいいドラマを探しています。
海外ドラマだと集中してみてないと何が何だかわからなくなっちゃうことが多いのでながら見は難しいですし。。。
今の家事のお供は『ゴーカイジャー』なんですが、戦闘シーンをついつい見入っちゃうのでなんかいい塩梅のないですかねー。
なんて、日本のドラマがすごく説明的なセリフで溢れていった経緯を実感しています。



資格試験が終わったので、時間もちょっと空きましたし、次なる目標を模索中です。
ダイエット、かな。。。


ではー。

『映画クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』 - ちりばめられた伏線と爆笑ギャグ!涙腺決壊の傑作アニメ

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監督:高橋渉
製作年:2016年
製作国:日本

あらすじ

突如現れた巨大な謎の生き物によって夢の世界にやってきたしんのすけたち。そこでは誰もが見たい夢を見ることができ、風間くんは政治家に、ネネちゃんはアイドルになるなど、皆が楽しい夢の時間を過ごす。しかし、その楽しい時間もつかの間、謎めいた転校生サキの出現により、人々は悪夢の世界に閉じ込められていく。(映画.comより)

しんちゃんという題材

この映画を観ていて、個人的にとても興奮したのが、ゲストキャラのサキの登場シーン。
なんてったって、サキを演じる声優があの『フルハウス』のミシェル役も演じている、川田妙子だったんですから!
つい最近、『フルハウス』全192話を観たばかりで、『フルハウス』って日本でいうと『サザエさん』とか『クレヨンしんちゃん』っぽいなぁなんて考えたところで、まさかしんちゃんにミシェル登場!
単なる偶然なんですが、妙なシンクロに興奮していまいました。

なんで『フルハウス』≒『クレヨンしんちゃん』だと思ったかというと、どちらも日常を圧倒的にポジティブに描いた作品だから。
ネガを内包しつつそれでいて良き日常、良き家族をどこまでもポジに描ききる作風は共通してると感じたからです。

それでいてしんちゃんという題材は放映中のアニメの映画化としてこれ以上ないくらい最適なんじゃないかとも思いました。

まず、普段のアニメで描かれるのは野原一家の日常なので、普段と違う事態に野原一家がてんやわんやしてるだけで出てくる、映画ならではのスペシャル感。
その日常が変貌していく、壊れていくという描写による危機感と恐怖。
どんなに荒唐無稽な展開やアクションシーンがあっても「野原一家なら」と納得できてしまうリアリティライン。
アクションシーンに加え、ギャグ、家族愛、友情など初めから内包してる、映画として盛り上がる要素。

書きながら思ったんですが、これってドラえもんでもほとんど同じことが言えますね。
やはりどちらの作品も、それなりに評価が高いアニメ映画シリーズとしてのベースが整ってるということなんでしょうか。

評価は高いシリーズと言いつつも、もちろん作品によってクオリティに差は出てしまいます。
最近の作品で言えば『ロボとーちゃん』は大好きですが、『引越し物語』はあまり好きじゃないなーという印象。

で、今回なんですが。。。。好きな作品でしたよ!!!!
笑って泣いての本当に楽しい90分を過ごすことができました。
歴代のしんちゃん映画の中でも屈指のクオリティと言っても過言ではないんじゃないでしょうか!

脚本の巧みさ

 本作はとにかく脚本があまりに良くできていて本当に驚きました。
シーンの1つ1つがすべて後の伏線になっているんじゃないかというくらい計算されていて、全くといって言いほど無駄がない作りになっています。

あえて言うなら実在の人物がゲストとしてちょい役と出てくるシーンが不要といえば不要なんですが、まぁこれはしんちゃん映画のお決まりみたいなもんです。
それに今回はそこまで悪くなかったというか、特にとにかく明るい安村のシーンは"悪夢"として面白かったし、あのBGMと「ヘーイ!」の掛け声も相まって笑ってしまいました。
大和田獏のシーンは長すぎましたが。。。ボーちゃんのあのシーンだけにしておけばよかったのに。。。

オープニングタイトル前のシーケンスから脚本は冴えわたります。
映画はひろしが見てる夢から始まるのですが、ここの演出がもうすでに秀逸!
周りのビルとかのディティールが荒くて無色なのに対して、自分と自分と関わる人(と異物たる巨大魚)だけがやけにカラフルで鮮明というのがすごく夢っぽい!
ここでは今回は夢がテーマの話だということを示し、ひろしの欲望を描くことでひととなりを説明しつつ、パンツを脱ぐ脱がないという下品でくだらないギャグを展開しながらもそれら後々の伏線になっているという秀逸さ!!

ひろしが夢の中で巨大魚に飲み込まれたあとは他の家族が見ている夢の描写になってるのですが、ひろしの夢の描写で説明は終えているのでみさえ、ひまわり、シロの順にどんどん夢のシーンが短くなっていき、映画にスピード感が生まれます。
それぞれの夢は短い時間でもパッと見で理解できるような映像的な工夫(イケメンに言い寄られるみさえ、巨大化したひまわり、馬みたいな体型のシロ)がされている上にすべてがギャグになってるという離れ業!!

こんな感じでどのシーンでも後の展開への伏線を張りながら、映像的にも工夫が凝らされていて心底感心してしまいました。
それでいて体感30秒に1回くらいの勢いでギャグが詰め込まれているのに90分にまとまっているんですから、本当によく練られた見事な脚本です。

アニメならではの映像表現

カラフルでポップに描かれた夢の世界、ユメミーワールドはまさにアニメならではの表現!
"夢玉"を変化させることで見たいと思った夢を自由に見ることができるユメミーワールドで、子供たちが思い思いの夢を見るシーンはとても楽しかったです。

反面、私たち大人にとってはなかなか厳しい表現でもありました。
というのも、子供の夢玉は大きく、大人たちの夢玉はとても小さいのです。
今回の敵役、夢彦の目的は夢パワーを集めることなので、夢玉が小さい=夢パワーが少ない大人たちはユメミーワールドを追い出され、悪夢しか見れない世界へと追いやられてしまいます。
この夢玉の大きさというのは想像力や発想の自由さを表したものであると同時に、"可能性"の象徴でもあるんじゃないかと思いました。
実際、作品の中では"寝ながら見る夢"と"将来の夢"があまり区別されることなく描かれます。
こういった抽象的ながらもわかりやすい映像表現というのはアニメだからこその表現だと思いました。

現実的で貧相な夢しか見れない=将来の可能性が少なくなってきてる大人たちを見て、寂しさや焦りを感じたのですが、後半、その小さな夢玉をなんとか駆使して夢彦に立ち向かうひろしとみさえにものすごく勇気付けられました。
クレヨンしんちゃんをテレビで見てた頃はしんちゃんと同世代だったのに、気付けばみさえとほぼ同い年になってしまったのかとしみじみ・・・・

アニメならではの表現は楽しさだけではなく、怖さ表現でも十二分に発揮されています。
ユメミーワールドを追い出されてしまった人たちが見る悪夢のビジョンはとにかく恐ろしかったです。
クレヨンしんちゃんという作品は普段日常を描いている分、こういった日常が侵食されていく描写は本当に怖く感じます。
後半、しんちゃんたちを襲う悪夢のビジョンは映像的にとても恐ろしく、近くに座っていた女の子が手で顔を覆っていたくらいでした。

個人的に物凄く恐ろしかったのがひろしが見る悪夢。
会社だけでなく家族もクビになってしまい、自分ではない別の人物を夫や父として慕う家族を見せられるという拷問レベルの悪夢。。。仕事と家族という2大アイデンティティを奪われたひろしの絶望は想像を絶します。

悪夢で面白かったのはネネちゃんが見る悪夢。
アイドルとして活躍していたはずが、熱愛報道によってファンたちに糾弾されるというもの。
ドルオタたちが打つMIX(タイガー!ファイヤー!サイバー!・・・っていうあれ)が呪詛のように聞こえてくるという描写は、ドルオタの端くれとして爆笑でした。

対立する"子供との接し方"

人々から夢パワーを奪い、悪夢の世界に閉じ込める夢彦の目的は"子供を守る"というものであり、それは野原夫妻の行動原理と同じものでした。
実際、ひろしは夢彦に「お前の気持ちはわからなくもない」と声をかけます。
しかし、夢彦のそれと野原夫妻のそれとでは目的は同じでもアプローチがまったく正反対でした。

夢彦はトラウマを背負ってしまい悪夢しか見れなくなったサキを救いたい一心で行動します。
悪夢や友達といった"サキを傷つける可能性があるもの"をサキから遠ざけ、排除しようとします。
しかし、それはサキの気持ちを無視して自分の理屈を押し付けているだけではなく、サキがトラウマと向き合う機会を奪っているということに夢彦は気付きません。

この親子の断絶の描写はかなりきついものがありました。
子供を守りたいはずが怒鳴りつけ傷付けてしまう夢彦、父親の期待に応えたいがために自分の気持ちを封じ込めて従ってしまうサキという関係性は児童虐待におけるそれを思い起こさせます
夢彦とサキのあまりに杜撰な食事シーンは、のちに野原一家の楽しげなお好み焼きシーンと対比されることで、そのわびしさが浮き彫りになります。

食事だけではなく、子供への接し方も対比されていきます。
大人の理屈を押し付ける夢彦に対し、ひろしとみさえは子供の目線になって接します。
中盤、現実的なことばかり考えていると夢玉をうまく操れないことに気付いたひろしとみさえが童心に返ることでなんとか夢玉を操るという爆笑シーンがあります。
心底笑えるギャグシーンではありますが、同時にひろしとみさえが子供と同じ視点を持てるという表現にもなっているんじゃないでしょうか。

それだけではなく、ひろしとみさえは大人としての責任を果たすことを忘れません。
終盤、親とはなんたるかを説き、無償の愛を示すことでトラウマの原因となった罪悪感からサキを解き放つみさえのシーンは思い出すだけでも涙が溢れ出てくるくらいに感動しました。
また、トラウマの原因となった罪悪感を消し去るのではなく受け入れるというサキの選択に、ただでさえ決壊していた涙腺に鉄砲水が押し寄せたような涙が止まりませんでした。


日本映画のレベルが低いだなんだなんてくだらないこと言ってる暇があったら、大人も子供も笑って泣ける超絶傑作たるこの映画を観にいくってのはどうでしょうか!!
超絶おすすめです!!!