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『ブラック・スキャンダル』 - 最恐にして最凶のジョニー・デップ!

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原題: Black Mass
監督:スコット・クーパー
製作年:2015
製作国:アメリカ

あらすじ

ジョニー・デップがFBI史上最高の懸賞金をかけられた実在の凶悪犯ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーを演じたクライムドラマ。1970年代、サウス・ボストン。FBI捜査官コナリーはアイルランド系マフィアのボスであるホワイティに、共通の敵であるイタリア系マフィアを協力して排除しようと持ちかける。しかし歯止めのきかなくなったホワイティは法の網をかいくぐって絶大な権力を握るようになり、ボストンで最も危険なギャングへとのし上がっていく。(映画.comより)

背景

まず驚きなのはこれが事実の映画化ってことですよね。ジョニー・デップ扮するジェームズ・バルジャー(通称ホワイティ)というアイリッシュ・マフィアは実在の人物で、わかっているだけでも19件の殺人で起訴されています。
16年の逃亡生活の末に現在は逮捕されていますが、当時の懸賞金は日本円にして約2億4千万円!これはFBIによる懸賞金の歴代2位だそうです(1位はウサマ・ビン・ラディン

本作はそのジェームズ・バルジャーを主人公にした映画なんですが、舞台がボストンなんです。
ボストンといえば、やたらマフィア映画が多いなってイメージ。ちょっと思い浮かべるだけでも『処刑人』『ザ・タウン』『ディパーテッド』などなど。
調べてみたらどうもボストンの南部っていうのは治安が悪くて、アイリッシュ・マフィアがたくさんいるところらしいんです。
地元の人たちなんかはボストン南部のことを"southey(サウシー)"なんて言ってるらしく、同じく治安が悪い南部のことをミナミと呼ぶ大阪みたいだな、なんて思いました。

復活のジョニー・デップ

バルジャーと取引をするFBI捜査官・コナリーにジョエル・エドガートン
コナリーの親友にしてバルジャーの弟の政治家・ビリーにベネディクト・カンバーバッチ
その他にもケヴィン・ベーコン、ダコタ・ジョンソンなど出演役者は超豪華!
個人的には『ハウス・オブ・カード』以降、飛ぶ鳥を落とす勢いのコリー・ストールのおいしい役どころにニヤニヤしました。

多くの名優が出演していますが、本作の立役者はやっぱりジョニー・デップと言わざるを得ないでしょう。
ジョニー・デップと言えばアメリカではテレビシリーズ『21ジャンプストリート』で人気を得て、その後『シザーハンズ』や『エド・ウッド』を経て『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』で世界的に大ヒットした超有名俳優ですが、ここのところは役に恵まれていない印象。
いつもジャック・スパロウを引きずったような奇人変人の役ばかりで、演技もおフザケおチャラケ演技ばかり。
特に最近は作品にもあまり恵まれておらず、別につまらなくはないけど、特に面白くもないような映画ばかり。。。

しかしながら本作のジョニー・デップはおチャラケを完全に封印し、ジョニー・デップ史上最恐にして最恐の演技を見せつけてくれるのです!

最恐シーンの連続

以下、知らないで観た方が面白いであろうシーンについてネタバレします。

たくさん怖いシーンがありましたが、私が特に怖かったのが2つのシーン。

1つが食事中の場面。
ステーキのうまさに驚いたバルジャーが料理を作った男にレシピを聞きます。
しかし、男は冗談めかして「我が家に伝わる秘伝のレシピなので教えられませんよ」と言います。
するとバルジャーは怒り、レシピを教えろと男に迫ります。
ちょっとふざけただけのつもりだった男は慌ててレシピを白状します。
それを聞いたバルジャーは少しの沈黙の後、冗談とは思えない口調で「そんなに簡単に秘密をばらすような奴には死んでもらおう」と言い放つのです・・・!

もう1つのシーンもまた食事に関するシーン。
FBI捜査官のコノリーは幼馴染であり取引相手でもあるバルジャーと食事をします。
しかし、コノリーの奥さんはバルジャーを嫌っており、具合が悪いと言って食事に参加しません。
するとそのことに腹を立てたバルジャーは奥さんの寝室に押しかけ、「熱を測ってやろう」と奥さんのおでこに手を当てるのですが、その手がだんだんと首へと近づいていくのです。。。

この2つのシーンはそれだけでもとても恐いのですが、前半にある別のシーンのせいで怖さが倍増しています。
そのシーンとはバルジャーによる売春婦の殺害シーン。
バルジャーの部下が自分たちの悪事について、売春婦にちょっと口を滑らせてしまいます。それを知ったバルジャーは何の躊躇もなくその売春婦を絞め殺すのです。
このシーンがあることでバルジャーは"密告をものすごく恐れて"いて、それを防ぐためには"人を絞め殺すことに何も躊躇がない"という情報が観客に示されています。
このシーンの後に上記の2つのシーンがあることで恐怖が何倍にも倍増してるのです。

これをジョニー・デップが終始低い声で言葉数少なくゆっくりとした話し方で演じるのでその恐怖たるや否や・・・・

成り上りと転落

この物語は一人のチンピラが大物マフィアへと成り上がっていく物語であり、同時に転落の物語でもあると思いました。

バルジャーは政治家の弟とFBI捜査官の幼馴染という2つの後ろ盾を得たことでどんどんと成り上がっていきます。
地元警察は有力な政治家の家族には手が出せず、FBIも捜査協力者になっているバルジャーを逮捕できません。
密告者に対する徹底的な報復を行うバルジャーを通報する人はおらず、白昼堂々と殺人をしても逮捕されることはありません。
常に仏頂面で声は低く、瞳には静かな狂気が宿ります。

そんなバルジャーですが、序盤では"ちょっと神経質なチンピラ"程度の悪党で、優しく気のいい一面すら見せます。
しかし、劇中に訪れる2つの死が彼を変えてしまいます。
冷酷な悪党へと堕ちたバルジャーは、マフィアとして成り上がっていくのです。
(バルジャーの感情の移り変わりの表現や、どんどんと冷酷になっていく様子など、ジョニー・デップここ数年でベストアクト!)

そしてもう一人、バルジャーともに堕ちていく人物がいます。
FBI捜査官のコノリーです。
バルジャーから得た情報を元にイタリアン・マフィアの大物を逮捕した彼もまた成り上がっていくのですが、バルジャーを守るために悪事へと手を染めていきます。

2人の最後はあっけないものでした。
あることをきっかけに悪事が明るみに出て、あっという間に指名手配されます。
次々と逮捕されたバルジャーの部下たちは手のひらを返すように証言を始めます。
密告を行うことで成り上り、自分に関する密告をひどく嫌ったバルジャーの天下は密告によって幕を降ろされることになります。

ただ一人、最後まで証言を行わない人物がいました。
彼の心情とその後の顛末を考えるとなんだかひどく切ない思いがしました。

参考リンク

町山智浩 ジョニー・デップ主演『ブラック・スキャンダル』を語る
いつものおきまりのやつ。映画評論家 町山さんによる映画の紹介。
ボストン事情などがよくわかります。

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ボストンが舞台の犯罪映画。ラストシーンが好き。

CTBNL (Column To Be Named Later) : 逃亡16年 81歳暗黒街ボスの逮捕 - livedoor Blog(ブログ)

ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャーに関するブログ記事。