明日に向って寝て!

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『ガールズ&パンツァー 劇場版』 - 外連味たっぷりの超絶アクション!萌えと戦車の純度を高めたその先にドラマはあるのか!?

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監督:水島努
製作年:2015
製作国:日本

あらすじ

2012~13年にかけてテレビ放送され、14年には新作OVAも劇場上映された「ガールズ&パンツァー」の完全新作劇場版。戦車を用いた武芸「戦車道」が大和撫子のたしなみとされる世界を舞台に、戦車道に打ち込む女子高生たちの成長や友情を描いた人気アニメで、テレビシリーズで戦車道の全国大会を戦い抜いた、西住みほを中心とした県立大洗女子学園のその後の物語が描かれる。第63回戦車道全国大会で優勝を飾った大洗女子学園。平穏な日常が戻ってきたと思っていたある日、大洗でエキシビジョンマッチが開催されることになる。いまやすっかり町の人気者になった大洗女子戦車道チームには熱い視線が注がれるが……。

ガルパンとの距離感

そもそもテレビアニメを観るという習慣がない上に、美少女アニメ萌えアニメというものにそれなりに苦手意識があって、テレビ放送してた頃はこの『ガールズ&パンツァー』という作品を一切知りませんでした。
ところが劇場版が公開され大ヒットしてからは映画ファンの間でもかなりの話題となり、かなりのテンションで褒めてる人もいたので、これは観てみたいと思ってたのです。
・・・が、映画の前に食人映画の予告編が流れてて不快だったって騒ぐ人がいたり、最近では雑誌のランキングにガルパンが入ってないって騒ぐ人がいたりで、正直かなりゲンナリ。

件の雑誌を購読して、食人映画をこよなく愛する身としてはやっぱりそれなりに言いたいことはあるわけでして。
何かに夢中になってる者同士としては気持ちはわからなくはないけど、自分が見たくないからってそれを排除しようとしたり、自分が好きなものが評価されないと怒ったりってのはどうなのよ、って思ったり。

あとはネット上の「ガルパンはいいぞ」ってノリだったり、自衛隊とのコラボだったりと観たいって熱がどんどんと冷まされてしまい、気付けば2月。
もちろんそういう人ばかりってわけではないだろうし、一部を見て十把一絡げに判断するのは愚の骨頂だってことは重々承知の上で、「やっぱこの界隈はめんどくさいから、積極的に関わるのよしておこう」って思っちゃったのも事実。

ただ、去年公開してからもう10週以上のロングランとなると、映画館に行く頻度が多い私の目にはかなり入ってくるんです。
さらにAmazonプライムビデオでテレビアニメが全話配信されてることもあって、結局観てみることに。

アニメ全12話とOVAで予習してから劇場版を鑑賞しました。

超絶アクション

とにかくアクションは最高!
まずはやっぱりその緻密な戦車描写でしょうか。
キャタピラのたわみと緊張、内部の車輪が地形に合わせて上下する様といった細かい描写から、発砲するときの車体の沈みやカーブ時の車体の振れ方など、しっかりと物理法則を感じさせてくれる描写がすごいんです!

そういうディティールに凝りながらも嘘つくところは思いっきり嘘をついていて。
現実じゃ絶対ありえない超ダイナミックな戦車アクションを魅せてくれるのがもう最高!
クライマックスの遊園地での描写なんて本当にすごくて。
ひっくり返った戦車をカタパルトにして宙を飛んだり、ジェットコースターのコースを走ったりと、実写じゃ絶対できないアニメならではの描写は本当にもう貶す余地が一切ない感じ。
とにかく戦い方のバリエーションが豊富で、多彩な戦車バトルをこれでもかってくらい堪能できました。

構図やカメラワークもかなり凝ってて、すごく楽しめました。
とくに主観ショットで視点をグリングリン振り回す映像はアニメ的な気持ち良さに溢れてました。
同じ水島監督作品だと『クレしんパラダイス! メイド・イン・埼玉』のひまわり視点とか、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』のジェットコースターでの視点振り回され描写とかを思い出しました。

そんな凝った構図の多彩な戦車バトルが同時多発的に発生する上にキャラ数、戦車数も多くて1回観ただけじゃ全然脳内処理が追いつかないってのに、そこに物凄い量の小ネタがこれでもかってくらいぶち込まれるんです。
歴史ネタ、地理ネタ、映画ネタ、軍事ネタ、ややブラックなユーモア・・・などなど。
なるほどこれは何回もリピートしたくなる気持ちがよくわかりました。

あとはアニメのキャラが大集合するシーンとかはメドレーで各学校のテーマソングが流れる演出も相まって盛り上がったし、作戦会議での各校個性爆発のわちゃわちゃは観てて楽しかったです。

設定は超突飛

このお話、設定は超突飛です。
「戦車を用いた武芸"戦車道"が大和撫子のたしなみとされる世界」で、「実弾を使った対戦を行うけど、特殊なカーボンで保護されてるから安全です」
って大前提の部分でもうめちゃくちゃなので、つっこむのが野暮ってもんなんです。

キャラクターも、学園ごとに割り振られた国のステレオタイプをさらにカリカチュアしたような性格付けをされていて、アイコン化されています。
(個人的に入学したいのはイタリアがモデルのアンツィオ高校。一番笑ったのは日本軍がモデルでやたら突撃したがる知波単学園

これらの設定は"可愛い萌えキャラがかっこいい戦車に乗って派手なアクションをする"という1点において純度を高めるためであり、効果は絶大だと思いました。
ただ、これは弊害も大きかったんじゃないかな、というのが正直な感想。
というのも、萌えと戦車の純度を高めるがためにドラマも排されてしまっていると感じたからです。

ドラマ不在のアクション

一応それらしい対立や軋轢、乗り越えるべき障害などが提示されるのですが、それらは単に後に萌えるための装置でしかないので観てるこっちとしては全然ノれませんでした。
キャラも類型化が過ぎててバックグラウンドもあまり語られないので感情移入もしにくくて、特に映画版の新キャラの扱いはかなり雑なんじゃないかと思いました。
最初から味方側の知波単学園と継続高校はまだしも、ラスボス的扱いの大学選抜チームについてなんの背景も因縁も描かれないから盛り上がりに欠けるというか・・・

ものすごいアクションが繰り広げられているのに、そこにドラマがないから興奮はするけどハラハラはしないというか。
端的にお話に関しては「どーでもいい」って気分にしかなれませんでした。

映画版はストーリーもかなり酷いと思っていて。
「戦車道の大会で優勝したから廃校にならない」ってテレビアニメで達成したはずの目標がなかったことにされて再度廃校の危機ってのには、せっかくアニメ観て予習した身としては全然納得できなかったです。

突飛な設定を前提にして、そういう無理矢理なストーリーを展開させるからせっかく高めたはずの純度が低まってしまってる気さえしました。
「明日から即廃校。転校先が決まるまでは廃校で子供だけで生活」って、親とかどうなってるの!?教育委員会とか自治体とかそういうのが動かないの!?と雑音だらけに。
あとはアニメ観てたときから思ったけど、戦車の性能差はまだしも数の差を合わせないで試合させるのはどうなのよ、とか。
作品内でのリアリティラインはもっとうまく操作して、せっかく高めた純度を守りきって欲しかったなーというのが正直なところです。

とかなんとか言ったけど、世界最高峰と言っても過言ではないアニメアクション表現を最高に楽しんだのは事実!
アニメも色々観ないといけないぞって思えたこと含めて、観てよかったと思いました。

参考リンク

Amazon.co.jp: ガールズ&パンツァー
テレビアニメシリーズとOVAAmazonプライムビデオでも観れます。

Amazon.co.jp | FURY / フューリー 
2014年の戦車映画。戦車内を掃除するシーンはトラウマ級